◆金町 1000羽以上 対策も難航
約1000羽に上るカラスが、岐阜市の中心部・
■空を覆うカラス
8日夕方、市内の金華橋通り。大量のカラスがビルの屋上に集まり、「カァカァ」と鳴きながら買い物客らを見下ろしていた。日が暮れるに従い、カラスは徐々に金神社周辺の木々へと移動していった。
「本当に困っています。見ていてください」。午後6時頃、同神社の長尾良彦
市循環型社会推進課の担当者などによると、カラスはハシブトガラスとハシボソガラスの2種とみられ、約1000羽はいるという。同神社の本郷啓介宮司(66)は「かつて神社に集まる鳥はハトが多かった。ウグイスの鳴き声が聞こえた時期もあったのに……」と振り返る。
■いたちごっこ
神社に集まるカラスは2000年代に入り、急速に増え、神社は長年フン害に悩まされてきた。本郷宮司は「神社の屋根は真っ白け。雨が降ると、悪臭が漂う」と頭を抱える。爆竹を鳴らしたり、ライトを照射したりしたが、カラスは学習能力が高く、一度逃げても戻ってくるので、いたちごっこが続いているという。
被害は神社にとどまらない。市には、周辺自治会から、「(カラスが)ゴミをつつく」「鳴き声がうるさい」といった苦情が過去に寄せられた。中部電力岐阜営業所によると、13年4月には、電線でのカラスの巣作りが原因で、近くの住ノ江町で停電が起きている。
■難しい抜本的解決
金神社は、柳ヶ瀬や玉宮町といった繁華街に囲まれている。なぜ街の中心部に集まるのか。カラスの生態に詳しい岐阜大野生動物管理学研究センターの森元萌弥・特任助教は「都市部は里山に比べ、
カラスは鳥獣保護管理法で、市街地で増えすぎた場合、有害鳥獣として駆除ができる。市内では15年度に132羽が捕獲されているが、ねぐらから追い払わないと抜本的な解決にならない。森元特任助教は「カラスを追い払っても、別の場所で被害をもたらす可能性がある。抜本的な対策には、自治体間で連携することが必要だ」と指摘している。